アドバイス

病院に行ったからチョコレート嚢胞ということがわかったし、私は行ってよかったと思います。行かなかったら、今も子どもを授からないままだったかもしれません。また、自分の体のことを考えたり、子どもが欲しい気持ちを夫婦で改めて共有したりする機会も増えました。私は社会人になって以来、仕事最優先で生きてきたのですが、そんな日々を見直す機会にもなりました。でもそれと同時に、不妊に悩んだり焦ったりするあまり、子どもという存在に過敏になってしまい、周囲の子どもを純粋な気持ちでかわいいと思えなかったりした時期があって、それは自分ですごく嫌でした。夫の弟に子どもが生まれたとき、義母から一緒にお見舞いに行かないかと誘われたのに、どうしても行きたくなくて、あれこれ理由をつけて断ったことは、私の心に杭のように刺さっています。

本当に妊娠を望んでいるならば、一度病院に行ってみたほうがいいと思います。自分やパートナーに何か原因があって、普通に頑張っても授かりにくいかもしれません。原因がわかれば、医師からアドバイスももらえるでしょうし、正しい努力をすることができます。

私からお伝えしたいのは、①パートナーと相談する、②自分たちで決める、という2つを大事にしてほしいな、ということです。

まず、①パートナーと相談する に関してですが、不妊治療は、女性の側が積極的に取り組むというカップルが多いと思います。中には、パートナーには内緒で通院しているという女性もいるでしょう。しかし、WHO(世界保健機構)によると、男性側にのみ不妊原因があるカップルは24%、女性側にのみ不妊原因があるカップルは41%、男女ともに原因があるカップルは24%、原因不明が11%、なのだそうです。男性に原因があるカップルは合計で48%と、約半数ということになります。この数字からも、2人で取り組んだほうがいい問題であるということがわかります。
日本Men's Health医学会 第1回コラム:意外に多い男性の不妊症について
また、不妊治療は決して楽しいものではないので、1人で抱え込まないほうがいいと思います。肉体的な苦痛を感じることもあると思いますが、私としては精神的に非常にキツかったです。報われるかどうか分からない努力をしているように感じたし、積み上げていけるものではなく毎回ゼロからのスタートなのも辛く感じました。友達はもちろん、親にだって気軽に相談できる話題ではないからこそ、一緒に取り組むべきパートナーとは、相談したり弱音を吐いたりできる関係であることが非常に重要だと思います。

②自分たちで決める に関して、不妊治療にはお金と時間の問題が付きものです。お金に関しては、条件によって行政から補助が出たり、最近では保険もありますが、十分とは言えないと思います。時間については、約1ヶ月のサイクルの中で気長に取り組む必要があるにも関わらず、特に女性は年齢を重ねれば重ねるほど妊娠しづらくなってしまいます。そんななかで、医師は専門的なアドバイスをしてはくれますが、責任をとってはくれません。すべては自分たち次第。どんな選択をいつするのか、お金や時間をどこにどれだけかけるのかを、自分たちで考え、納得して決めるべきです。